TAJIMI CITY Booklet No.11
市場と向き合う自治体
小西砂千夫(関西学院大学)
稲澤克祐(関西学院大学)
定価(本体1,000円+税)
2008年4月15日発行
市場と向き合う自治体 <多治見市の財政健全化条例と国の地方財政健全化法>
従来の「地方財政再建促進特別措置法」が、財政破綻団体の財政再建を目的としたものであったのに対し、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」は、全地方公共団体を対象に、財政運営健全化の指導を目的としています。
いままでの法律が青信号か赤信号しかなかったのに対し、今度の法律で黄信号をつくったというわけです。
ただ実際に、黄信号・赤信号に入る自治体はごくわずかであると予想されます。
しかし、青信号=健全段階であるからといって安心できるわけではありません。
ひどい状態ではない、というだけなのです。
健全段階の団体であってもそれに満足することなく、
自分たちが目指すべき健全な財政状態を目指し、
健全財政の定義を自分たちで定義し、
そこに向けて財政の健全化を心がけるという自主的な枠組みを作ることこそが、
この法律の趣旨といえるのです。
この呼びかけに強く応えたのが多治見市です。
<自治体における市場化テストの課題>
2006年、いわゆる「市場化テスト法」が導入されました。
日本の自治体は、1999年のPFI法、2003年の指定管理者制度などにより民間委託がかなり進み、アウトソーシングの規模は大きくなってきていました。
したがって、この法律の意義や位置づけは、単にアウトソーシングの規模拡大、つまり単なる官業の開放あるいは官民競争の導入ととらえるべきではありません。
民間委託を進め、規制改革を行ってきたわれわれの国・自治体が、これからどのように進んでいくのか、市場化テストを通じて考えていきます。


目 次

多治見市の財政健全化条例と国の地方財政健全化法
(小西砂千夫)

はじめに
一 なぜ財政状態が悪くなるのか
 1 もちこたえている団体ともちこたえていない団体の差は何か
 2 自治体は誰も舵を握っていない船

二 多治見市に財政健全化をもたらしたもの
 1 自治基本条例、マニフェスト、総合計画
 2 総合計画の組み立て、進行管理
 3 多治見市健全な財政に関する条例

三 「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」と「多治見市財政健全化に関する条例」
 1 自治体の財政悪化を規制する法律
 2 自主的財政健全化ルールとしての条例


自治体における市場化テストの現状と課題
(稲澤克祐)

はじめに
一 市場化テストの基本的理解
 1 公共サービスの市場化と市場化テスト
 2 官民パートナーシップ(PPP)における市場化テストの位置付け
 3 わが国における市場化テスト導入の経緯
 4 自治体における市場化テストの実態
 5 公共サービス改革法の理解

二 市場化テスト実施における課題
 1 対象事業の選定
 2 第三者機関の設置
 3 アウトソーシング改革との接点
 4 コスト計算

おわりに



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